雨をテーマにしたクラシック音楽5選【梅雨】
雨の日が続く梅雨には、気持ちもしっとり雨によく似合う音楽を聴きたくなりませんか?
今回は、ヒーリングミュージック効果の高いクラシック音楽の中でも、
特に雨や水をテーマにした音楽を5つピックアップしてご紹介します。
雨モチーフのクラシックといえば「雨だれ」
クラシック音楽には、私たちの脳をα波に導き、ゆったりリラックスさせてくれる効果があります。 そんなクラシック音楽の中でも、特に雨をモチーフにした作品として最も良く知られているのがショパンの「雨だれ」。
前奏曲 作品28の15「雨だれ」 ショパン
甘く切ないピアノの旋律が印象的ですが、実はこの曲には少し意外なエピソードがあります。 ショパンが一人で家にいると突然外が豪雨となり、ちょうどその時出かけていた妻サンドの身に何かあったのではないかと強い不安に駆られました。 この時感じた死の足音が、嬰ハ単調に転調した中間部に表れているというのです。 確かになんだかちょっとおどろおどろしい雰囲気に包まれる中間部ですが、その後何事もなく無事に帰宅したサンドと、 また冒頭の主題に戻ってくる曲の展開がリンクしているようにも思えます。 繊細でとてもショパンらしい1曲です。
清らかな雫が目に浮かぶ「水の戯れ」
まるで心洗われるようなみずみずしい音の流れに、思わず引き込まれてしまう「水の戯れ」は、 ラヴェルがパリ音楽院に在学していた1901年に作曲されたピアノ曲です。 印象派音楽を代表する名曲とも名高く、曲名の通り水がまるで意思を持った生き物のように、 思い思いに戯れているかのような情景が浮かんでくる1曲になっています。
Ravel:Jeux d’eau
美しく繊細な音の重なりは、私たちの心に鮮やかな感動と癒しを与えてくれること間違いなし。 雨の日のテーマ曲としてぜひいかがでしょうか。
降りしきる雨を鮮やかに描いた「雨の庭」
続いてご紹介するドビュッシーも、印象派を代表する作曲家のひとりです。 「版画」というピアノ曲集の中におさめられている「雨の庭」は、 ここまでご紹介してきた雨モチーフのクラシック音楽の中では最もスピード感にあふれています。
ドビュッシー/版画 3.雨の庭/演奏:金田真理子
ザーザーと降りしきる雨を鮮やかに描き、それでいて中間部にはドビュッシーならではの甘美な展開もバッチリ。 「雨の庭」には、フランスの童謡の主題が引用されているとも言われており、エキゾチックでどこか懐かしいような曲調にも注目です。
おとぎの国に連れて行かれそうな「雨の樹」
日本が誇る現代音楽家のひとり、武満徹による「雨の樹・素描Ⅱ」は、 これまでご紹介してきた作品たちとはまた一風変わった雰囲気が魅力のピアノ曲です。 耳を傾けているとまるでおとぎの国にいざなわれてしまいそうな、 繊細で美しい世界観を持った1曲になっています。
武満徹/雨の樹・素描 II ~オリヴィエ・メシアンの追憶に~ Pf.Tomoki Sakata
目を閉じながら聴いていると、ひとつひとつの音のゆらぎが脳に直接訴えかけてくるかのようです。 「雨の樹」には「素描Ⅱ」のほかに「素描Ⅰ」もあるので、こちらの作品が気に入った方はぜひ「素描Ⅰ」のほうも試聴してみてくださいね。
晴れやかなヴァイオリンに癒される「雨の歌」
どちらかというと繊細なイメージの作品が多い、雨をモチーフにしたクラシック音楽。
しかしブラームスのヴァイオリンソナタ「雨の歌」は、悠々と奏でられるヴァイオリンの音色が伸びやかで、
とても晴れやかな気分になることができる作品です。
ブラームス「ヴァイオリンソナタ ト長調 Op 78 “雨の歌”」第1楽章
雨がピチョンと跳ねているかのような楽しげな展開も間に挟みつつ、
終始雄大な自然を彷彿とさせる美しいヴァイオリンソナタになっています。
ちなみに第2楽章では、第1楽章よりも切なく響くヴァイオリンの音色を堪能することができます。
雨をテーマにしたクラシックは近代に多い
私たちが学校の音楽の授業で習うような著名な音楽家たちが、
雨をテーマにした作品をつくり始めたのは実は結構近代に入ってから。
今回ご紹介した5つの楽曲も、ほとんどが20世紀に入ってから作られたものでしたね。
雨は私たちに神秘的な癒しを与えてくれるモチーフのひとつですが、ぜひ今年の梅雨は窓の外の雨音に耳を傾けつつ、
今回ピックアップしたクラシック音楽でも心癒されるひとときを過ごしてみてくださいね。