恋の扉を開くカギは「吊り橋効果」と「欠けたピース対応」にあり?
夏の扉が開き、まぶしい光が暑い季節の到来を知らせている今日この頃。
みなさんは、夏はお好きですか?
無意識の「思考のクセ」が人生を左右する?
子ども時代は夏休みが待ち遠しかった、というかたはたくさんいらっしゃると思います。
「学校に行かなくていい」「遊べる」「自由を満喫できる」「お祭り、旅行、イベントが楽しみ」など、他にも夏が待ち遠しかった理由はたくさんあるでしょう。
ですが、夏休みには「宿題」がつきもの。人には大まかに、2つの傾向があります。
1.宿題を早めに終わらせてたくさん遊びたい人
2.たくさん遊んでから宿題にようやく手をつける人
あなたはどちらのタイプでしたか?
お寿司の握りの盛り合わせを食べるときに、好きなネタから食べる人もいれば、好きなネタは最後にとっておく人もいます。
筆者の仕事であるNLP(神経言語プログラミング)では、このような人の無意識の習性を「メタプログラム」と呼んでいます。
メタプログラムは、その人らしさや、個性のようなもの。
自分や相手のプログラムを知ることで、コミニュケーションをスムーズにしていくスキルです。
このプログラムは思いのほか人生を左右するものなのです。自分の無意識のプログラムに従って、私たちはさまざまな選択をしています。
「ひと夏の恋」がドラマチックなのはなぜ?
夏には野外フェス、花火大会などイベント三昧で過ごすかたもいらっしゃるでしょう。
海や山には人が集まり、夏は他の季節よりも人が動く季節です。
「ひと夏の恋」という言葉があります。
ひと秋やひと春の恋、なんていう表現は聞いたことがありません。ひと夏の恋はいきなり始まる、イントロダクションのない音楽のよう。
夏の恋がドラマチックなのは、日常から離れた環境や状況が、恋の場面を盛り上げる演出にとても効果的だからかもしれません。
“旅の恥は掻き捨て”ということわざがありますが、旅先での出会いやハプニングは、人を大胆にさせるもの。
ですから平凡な日々から離れると、いつもとは違う自分になれるのです。
フェスでは野外で音楽を体いっぱいに体験し、花火大会では、夜空に浮かんだ美しい花火を眺めるなど、日頃の慣れ親しんだプログラムとは違うことを体験して、見るもの、聴くものに敏感になり、脳は“刺激”を感じています。
「吊り橋効果」と「欠けたピース対応」で恋の扉が開く?
吊り橋効果についてご存知でしょうか?
例えばキャンプ場で一緒に吊り橋を渡っているときにドキドキを共有し、一緒に渡り終えたときに感じる安堵と達成感。
このような、ドラマチックな場面を共に体験すると、相手のことを意識してしまうようになる、という人の潜在意識にまつわる理論です。
社内恋愛のカップルがゴールインしやすいのは、ひとつのプロジェクトに共に取り組んでいるうちに、同士のような感覚を体感するからだと言われています。
そして、野外フェスや花火大会のような非日常の世界を一緒に体験する時も同じような状況にあります。
同じものを見て、同じ音を聴いて、同じ雰囲気を体で味わっているうちに、吊り橋効果に似た一体感を感じるでしょう。
日常の自分が体験することのない瞬間を体験するとその差異が、人をトランス(一種の催眠状態)に導くのかもしれません。
「ギャップ萌え」という表現がありますが、自分の中に生まれているいつもの自分とは違うギャップ感は、ときめきを加速させます。
ですが、この吊り橋効果だけで必ずしも恋が生まれるとは限りません。
“相手の記憶に残ること”が、さらに必要な条件です。
あなたが良いフィーリングを感じる異性と、野外フェスで出会ったとしましょう。
なんとなく話し始めたふたりは、フェスの会場から少し離れて散歩をします。相手のことを知りたい欲求が、そうさせるのでしょう。
そんな時、あなたはどのような会話をしますか?
あなたがひと夏の恋の扉をもし、開きたかったら、お相手からの質問にあなたが
“欠けたピースを残すこと”を筆者は提案します。
記憶は印象によって強弱が変わります。強い印象は強い記憶を残します。
大きな事件を人が記憶するのは、それだけ印象が強いからでしょう。
だからといって、夏の出会いにわざわざ大事件を引き起こさせる必要はありません。
ジグソーパズルのピースをあえて残すために。相手の記憶に残るために。
人が興味や関心を抱いた対象に対して“欠けた情報を埋めたいと欲する習性”を利用しましょう。
一片のピースを埋めたくなるのは、「入らないでください」と書かれたドアを見るとかえってそのドアの向こうに何があるのか?興味を抱き、知りたくなるのと同じです。
<欠けたピース対応の一例>
- 夏のイベントで知り合った人にもし、名前を聞かれたら、あえて自分の“ニックネームだけ”を教える。
- 住んでいる場所を聞かれたら、あえてその場所からの“所要時間だけ”を教える。
- 職業を聞かれたら、“人に会う仕事”、“パソコンがないとできない仕事”など、あえて、曖昧に回答する。
あなたが相手に告げた情報は、あなたに興味を抱いた人にとってのパズルのピースです。
私たちは“人から質問されたことに何らかの反応をする”習性を持っています。
ここにもプログラムが存在していて、大まかに答える反応をするタイプの人と、詳細に答える反応をするタイプの人がいます。
さて、あなたはどちらのプログラムをお持ちでしょうか?
恋に効く?「秘密」の効果
“愛されたいなら口を慎みなさい。
愛の心を開く鍵、それは「秘密」です”
これはフランスの古い格言です。
興味や関心を抱く対象に秘密や謎があると、その扉の先をもっと知りたくなるものです。
『おもいでの夏(原題:The Summer of ’42)』という古い映画があります。1971年に公開されたアメリカ映画です。
ひとりの少年が、夏の避暑地で出会い密かに好きになった年上の女性。ですが夏が終わる頃に女性は手紙を残して立ち去ってしまいます。
映画では元少年は30年経てもなお、その女性が忘れられないでいるのです。
海辺が舞台のロマンチックなストーリーは切なく美しく、まさにひと夏の恋。
欠けたピースを残したままのジグソーパズルは、思い出の壁に掛けて、色褪せても眺めれば記憶はすぐに蘇ります。
夏こそ、思い切ってあなたのプログラムを変えて出会い、ひと夏の恋をしてみましょう。
そしてずっと誰かの、あるいはあなたの記憶に残る恋の扉を、今年はそっと開けてみませんか?
その扉の先にいつかあなたが懐かしく、思い出を愛せるピースが隠れているかもしれません。


ふくち みずほ
【リフレーミングカラーズ協会株式会社代表、セラピスト・カウンセラー・ヒューマンアカデミー講師】
全国30校舎のヒューマンアカデミーにて、セラピスト・カウンセラーの講座開発と育成授業を手がける。米国NLP協会認定NLPトレーナー。得意分野はインナーチャイルド、カラーセラピー、育成歴をもとにした交流分析、ヒプノセラピー、NLPトレーニング。
女性が生きる上で必要な、セラピースキル(知識)とテクニック(技術)は、恋愛、仕事、結婚、育児など活用分野が膨大であるため、多くの女性にその技術を提供する。NLPトレーニングでの受講生数は延べ1460人にのぼる。