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心の栄養には「アミノ酸」?ストレス解消に◎な食べ物とは

9月に入り、少しずつ秋の気配が漂ってきました。”実りの秋” と呼ばれるように、これからの季節、さまざまな食材が旬を迎えます。

私たちが元気に活動するうえで欠かせない「食」ですが、実は “心の健康” にもかかわっていることをご存じでしょうか。今回は、ストレス解消に効果的な栄養素と食材をご紹介していきます。

メンタルを整えるために欠かせない「アミノ酸」

近年、心のコンディションには脳内の神経伝達物質やホルモンが深くかかわっていることがわかってきました。有名なところでは、ノルアドレナリンやドーパミン、セロトニンなどがあります。

これらの神経伝達物質やホルモンは、さまざまな種類のアミノ酸からつくられます。以下に、メンタルにかかわる神経伝達物質やホルモンの主なはたらきと、それらをつくる栄養素を含む食材をまとめてみました。

<ノルアドレナリン/アドレナリン/ドーパミン>

ノルアドレナリンやアドレナリンは、交感神経を興奮させて、私たちを元気にし、集中力や積極性を高める神経伝達物質。これらが不足すると気分がゆううつになったり、イライラしたり、やる気が低下したりといった症状があらわれ易くなる。

「快感物質」とも呼ばれるドーパミンは、楽しさや心地よさといった感情を生み出し、前向きなやる気を引き起こしてくれる神経伝達物質。からだの動きをコントロールする役割もある。
これらは、フェニルアラニンから合成されるチロシンと呼ばれるアミノ酸からつくられる。

チロシンを含む食材:タケノコ、肉類(鶏肉、牛肉、羊肉)、かつお節、牛乳、卵黄、ピーナッツ、アーモンド、バナナなど

<セロトニン/メラトニン>

セロトニンは、気落ちした心を上向かせるのと同時に、感情の爆発を抑えながら心を穏やかにし、不安を解消してくれる神経伝達物質。アミノ酸のひとつトリプトファンからつくられる。

睡眠と深くかかわるメラトニンはセロトニンからつくられるため、セロトニンが不足するとメラトニンも不足し、睡眠障害などを招くことがある。

トリプトファンを含む食材:チロシンを含む食材に加え、大豆(豆腐)、のり、ゴマ、マグロ、チーズなど

<GABA(ギャバ)>

セロトニンとは違うメカニズムで不安を解消してくれる神経伝達物質であり、アミノ酸の一種。

GABAを含む食材:納豆、オクラ、山芋など

ストレス解消に◎な栄養素はほかにもいろいろ!

“心の健康” につながる栄養素は、アミノ酸だけではありません。例えば、ビタミン類は、先に述べた神経伝達物質の合成にかかわったり、ストレスに対抗するホルモンをつくったりするのに一役買っています。また、「カルシウムが不足するとイライラする」と言われるように、カルシウムをはじめとするミネラル類も、”心の健康” にかかわっています。それぞれみていきましょう。

<ビタミンB1/ビタミンB6/ビタミンC>

ビタミンB1は、脳やからだのエネルギー源であるブドウ糖の代謝に重要なはたらきをする。また、脳内の神経伝達物質の合成にもかかわっている。

ビタミンB1を含む食材:玄米、納豆、そら豆、豚肉、牛レバー、干ししいたけ、のりなど

神経伝達物質の合成のカギを握るビタミンとも呼ばれるのがビタミンB6。脳のはたらきに大きな影響を与えている。

ビタミンB6を含む食材:カツオ、マグロ、鶏ひき肉、牛レバー、にんにく、バナナなど

抗酸化作用を持つことで知られるビタミンCは、ストレスを受けたときに対抗できるよう分泌される副腎皮質ホルモンをつくるのに必要な栄養素でもある。

ビタミンCを含む食材:レモン、キウイ、柿、みかんなどの果物類、じゃがいも、ブロッコリー、ピーマンなど

<カルシウム/鉄>

カルシウムは、副交感神経の神経伝達物質が情報を伝えるときの媒体になる。また、イライラをしずめる作用があるため、不足すると情緒不安定に陥りやすくなる。

カルシウムを含む食材:牛乳、乳製品、しらす干し、チーズ、こんぶ、ひじき、緑黄色野菜など

鉄は、全身に酸素を運ぶために大切な役割を担っている。また、ノルアドレナリンの合成にもかかわっている。

鉄を含む食材:(吸収のよい鉄)肉類、魚介類など (肉類やビタミンCと一緒に摂取するとよい鉄)穀類、大豆、緑黄色野菜など

<食物繊維/オリゴ糖>

食物繊維やオリゴ糖は、腸内環境を整えるのに役立つことがわかっている。ストレス状態のときは腸内環境が乱れやすくなるため、これらの摂取を心がけることが必要。

食物繊維を含む食材:穀類、野菜、いも、海草、こんにゃく、大豆など
オリゴ糖を含む食材:大豆、玉ねぎ、ゴボウ、とうもろこし、バナナ、ハチミツなど

ストレス解消によい栄養素や食材を紹介してきましたが、もちろんこれらの食品ばかりを摂っていれば安心、というわけではありません。健やかな心と身体で日々を過ごすには、3食を規則正しく、バランスのよい食事を摂ることが大前提です。栄養素が偏らないように、毎日さまざまな食べ物を、楽しみながらいただきましょう。

「よく噛む」こともストレス解消に!

食べ物の栄養素はもちろん、実は食事の摂りかたもストレスにかかわっています。

食事の摂りかたのポイントのひとつが、よく噛むことです。私たちは、あごの筋肉を縮めたり、伸ばしたりしながら食べ物を噛みます。このあごの筋肉の運動が、脳に適度な刺激を与えてストレス解消につながるのです。
スポーツ選手がガムを噛む姿を見かけることがありますね。あごの筋肉を動かすことで、気持ちを落ち着かせたり緊張をほぐしたりする作用が期待できますので、理にかなっているといえるでしょう。

ふたつめが、楽しみながら食事をすることです。例えば、知り合ってまもない人と、食事をきっかけにそれまでより打ち解けることができた経験はありませんか?このように、食事は人間関係を豊かにするうえで欠かせないコミュニケーションを円滑にしてくれます。

また、食べたときに「美味しい」と感じられず、食べることがストレスになるときは、消化酵素や消化ホルモンがほとんど分泌されないという実験結果もあります。
つまり、誰かと楽しみながら食事を美味しくいただくことが、ひいてはストレスを遠ざける食事の仕方の一つといえるのです。

美味しいものがたくさん出回る味覚の秋。よく噛んで食材のおいしさを味わいつつ、楽しみながら食事ができればなによりですね。

この記事の担当ライター
桃谷 裕子
桃谷 裕子

桃谷裕子(ももたに・ひろこ)
横浜労災病院 勤務者メンタルヘルスセンター 臨床心理士
東京薬科大学卒業後、薬剤師の免許取得。関東逓信病院(現・NTT東日本関東病院)の薬剤師や英国ピアソングループ医療系出版社の管理職、エムスリー(株)にて日本最大級の医療従事者専用サイト『m3.com』の初代コンテンツ・リーダーとして働き続ける中、「いい仕事をするためには“心”と“からだ”の両方の健康づくりが重要!」と痛感。一念発起して、子育てをしながら心理学を学び、駒澤大学大学院、筑波大学大学院を修了。いまでは“薬女”の知識と経験も活かしながら臨床心理士・産業カウンセラーとして働く。現職のほか、神奈川大学教職員のカウンセラー、陸上自衛隊や企業のメンタルヘルス研修講師も務める。(公財)日本生産性本部と東京大学が共同で設立した『健康いきいき職場づくりフォーラム』の2018年2月のブログ記事を担当。著書に『メンタルサポート教室』『心とからだの健康教室』(新興医学出版社)がある。リラクシング&リフレッシング・ミュージック『ストレスフリー』(デラ)の監修者でもある。

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